早いもので2018年も大晦日!ということで、今回は2018年のブロックチェーン・仮想通貨のトレンド予想の答え合わせをしたいと思います。
2018年のトレンド予測は以下の通りでした。

1.使いやすい通貨
2.匿名通貨
3.ICOの拡大とイーサリアム
さて、どのような結果になったでしょうか・・・
使いやすい通貨:×
使いやすい通貨、と言われてもなんのこっちゃという感じですが、以下のようなことを書いていました。
2018年はビットコインや仮想通貨の値動きだけでなく、決済など実社会での活用例が更に増えてくると思われます。
結論、通貨としての活用例はさほど盛り上がりませんでした。それどころか、利用件数は下落に転じ、決済手段としての仮想通貨については厳しい目が向けられた感じもあります。

なぜ厳しいのか、についてはいくつか意見がありますが、おおよそ以下に大別されます。
通貨のボラティリティが高すぎる
以下は今年1年のビットコインの値動きです。
1年で1/4くらいの値段になったわけですが、それ以外にも短期的(1日や1週間のレベル)で数10%動くことも珍しくありません。
これを決済の観点で考えると、「昨日受け取った100万円相当のBTCが明日半分になったらどうしよう」となるわけです。
ただ、このような所謂為替リスクは法定通貨でも存在します。法定通貨の場合は金融側にリスクを回避できる仕組みがありますが(為替予約やスワップなど)、仮想通貨の場合はこの辺の仕組みもまだ発展途上です。
よって現時点では、ビットコイン含め仮想通貨を一般的な決済で使うのはハードルが高い、となります。
決済の処理能力が高くない
これは通貨によりますが、一般的なクレジットカード決済等と比べてそもそも決済の処理能力が高くないこともデメリットの1つです。
Visaのシステムでは1秒間に56,000件もの処理能力があると言われています。一方、ビットコインのトランザクションは10分毎の承認です。他のプロトコルだともう少し処理能力が高いものもありますが、世界中で広く受け入れられているVisa Netほどのスペックがあるかどうかは疑問です。

法人(店舗)での受け入れや処理が難しい
仮に値動きや処理能力に問題がなかったとして、店舗で受け入れたビットコインや仮想通貨をどのように会計処理するのか、等の問題があります。
メタップス社が韓国で実施したICOで大量のイーサリアムを取得し、その計上をどのようにするか、が議論になったことを覚えている方もいるのではと思います。

まとめ:中長期的には引き続き注目すべき内容
上記のような現況であり、今すぐに仮想通貨を決済で実用化するのはなかなかハードルが高そうです。
一方で、リップルのように実証実験を拡大しているものや、そもそもステーブルコインのように値動きが安定した通貨を発行することにより決済に役立てよう、という動きもあります。


中長期的な目線で、決済周りは今後も注目のトレンドと言えそうです。
匿名通貨:×
匿名通貨についてはその特性上非常に注目していたのですが、少なくとも日本では取扱禁止になってしまいました・・・

マネーロンダリング防止という観点からも、真正面からこの辺に取り組んでいくのは少し厳しそうです。
ICOの拡大とイーサリアム:△
一言で言うと、ICOというか仮想通貨を用いた資金調達については爆発的なスピードで進化していると言えます。
ICO自体は金額・件数とも減少傾向
ICOの件数自体は、5月をピークに減少傾向にあります。各国での規制強化や、そもそものICOのイメージの悪さ等により環境は悪化していると言えそうです。
新しい取り組み:STOに注目
一方でIEOやSTOのように、ICOの特性を活かしつつより健全な形で資金調達を行えるような仕組みも整備されつつあります。特にSTOについては、シンガポールなどを中心に国家レベルでの仕組みづくりが進んでいます。

現実的な資金調達のハードル(実質株式上場と同等かそれ以上の体制整備が必要)やKYCの担保などを考えると、まだまだ一般的に広がるまでは距離がありそうですが、引き続き2019年度も仕組みづくりや実利用例が展開していくと思われます。
まとめ
トレンド予測はやはり難しいですね・・・特にブロックチェーン界隈のようにビジネスや規制が発展途上な業界の場合、半年前正しかったことはもはや正しくない、ということが平気で起こってしまうので、逆に最新状況を逐次キャッチアップしていくことが不可欠とも言えそうです。
そんな次回は懲りもせず2019年度のトレンド予測です!