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STO(セキュリティトークンオファリング)の概要、特徴や事例について

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今回は前回に続き、セキュリティトークンを用いた資金調達であるSTO(セキュリティトークンオファリング)について紹介します。

セキュリティトークンの可能性とHowey Test(ハウェイテスト)
今回は、最近ブロックチェーン・仮想通貨界隈で話題のセキュリティトークンについて、その定義やHowey Test(ハウェイテスト)と呼ばれる判断基準、将来の可能性を中心にまとめます。 以前の記事でもユーティリティトークンとの比較で紹介しましたが、なぜセキュリティトークンがこれほど注目されているのでしょうか。

世界でICOが下火になる中、複数のプロジェクトがSTOによる資金調達を目指しているとも言われています。一体どのような手法なのでしょうか。

(前提)ICOの凋落とその背景

ICOについて当サイトで紹介したのはちょうど1年ほど前のことですが、

comsaで注目!ICOってなんだろう
ICOを知ってますか? 最近ではビットコインや暗号通貨に馴染みのある人だけでなく、普通の新聞などでも取り上げられるようになってきました。今回...

1年間で業況は大きく変わりました。当時は夢の資金調達手法みたいな扱いを受けていましたが、今ではどちらかと言うとアンタッチャブルな手法と受け取られています(特に日本やアメリカではこの傾向が顕著)。

なぜこのように扱いが変化したのか?具体的には以下の要因が考えられます。

詐欺や詐欺的手法が横行した

一番大きいのはこの点によるものです。ICOはその情報開示や販売・広告手法等に特に制限がなく、だからこそ既存の資金調達手段に比べて利便性が高いという評価を受けていました。

実際には、この点を悪用して詐欺を働くICO案件が横行しました。また明確に詐欺と断定はされなくても、情報開示が不十分であったり、いわゆる相場操縦的な手法での価格だけ釣り上がる、いつまで経ってもプロジェクトが進んでいる形跡がない等々上げればキリがないくらいの「怪しい」プロジェクトの横行により、ICOという手法自体が信頼を失っていることは確かです。

レギュレーションがなさすぎて投資家の層を狭めている

1点目と重複しますが、現行のICOのスキームではほぼ間違いなく企業や機関投資家は参入できません。レギュレーションがなさすぎるため、コンプライアンスの観点で投資判断が難しいためです。

一般的なベンチャー企業がIPOする場合のエクイティ・ストーリーでは、VC→(上場)→個人投資家→機関投資家→・・・ と資金の出し手が変化し、スケールもどんどん大きくなっていきます。ICOマーケットはこの中の個人投資家しか事実上参入が難しいマーケットであり、この点で非常に偏っているとともに市場規模を自ら狭めていると言えます。

仮想通貨に対するレピュテーションが低下している

上記2点はあくまでICO自体の性質やそれに基づく欠陥が招いたものですが、コインチェック事件や相場の冷え込みに端を発した、仮想通貨自体のレピュテーションの低下もICOの信頼低下の一因と言えます。

上記のようなICOの欠陥をカバーする手法として、DAICOやIEOが提起されてきました。

健全なICOは非中央集権から!Vitalik Buterin提唱のDAICOとは
今回はイーサリアム創始者のVitalik Buterinが提唱して年初から話題になった『DAICO』の構想について紹介します。 ICO案...
https://coiner.jp/ieo/

IEOは実際いくつか事例は出ていて、日本でもNANJCOIN(2ch(現5ch)のなんJ板をルーツにした、スポーツやeスポーツ周りでの利活用を目指す仮想通貨)はIEOによる資金調達を実現しています。

STO(セキュリティトークンオファリング)とは

このように仮想通貨による資金調達は課題を孕みながら進化してきたのですが、最近STO(セキュリティトークンオファリング)という手法が提唱され、アメリカやシンガポールを中心に事例が出てきています。

STOとは、セキュリティトークンを使った資金調達です。
前回の記事で書いたとおり、セキュリティトークンに該当する仮想通貨は(アメリカで言えば)SECの規制下に置かれるため、一般の株や債券と変わらない届け出や情報開示が必要になります。だからこそ堂々と、ICOに比べて幅広い投資家に対して投資を訴求できる一方、旧来の株や債券の売出しに比べるとハードルは低い、というのがSTOのポイントです。

ICOやIEOとの違い、メリットやデメリット

メリット

法的安定性が高い

そのトークンが証券としての届け出を実際に行うのか、単にセキュリティトークンと宣言するのかの違いはありますが、少なくとも既存のレギュレーションに則った(あるいは則る予定)トークンである以上、通常の仮想通貨に比べ法的な安定性は高くなります。

投資家の幅が広がる

既存ICOではどうしても個人投資家中心の座組にならざるを得ませんが、証券としての性質がクリアになることで一般企業や機関投資家の参入が期待できます(逆に、証券となることで投資家の資格要件が限定され、個人投資家にとっての障壁が高くなる可能性もあります)。

デメリット

「証券」としての手続きや要件が煩雑、重い

基本的に「証券」は届出制である以上、対処すべき手続きや資格要件、内部統制や監査などコンプライアンス周りの体制構築、KYC(本人確認)、投資家への情報開示等、運営者の負荷は非常に重くなります。

国や地域によりレギュレーションにばらつきがある

株や債券と異なり、仮想通貨の証券性の基準はまだ明確なものではなく、国によるばらつきも大きいため今後の可能性は不透明です。
例えば、日本では仮想通貨交換業のもとで仮想通貨の証券性やユーティリティトークンの定義が公式に明確になっていません。そのため、日本国内法人が日本も対象にしてSTOを実施するのはまだハードルが高いと言えそうです。
逆に、スイスやシンガポール、マルタのように先んじてそうした制度構築を国主導で実施しているケースもあります。

実際のSTO事例

海外の動向

まだまだ数は少ないですが、アメリカではすでにいくつか事例が出ているようです。

Search – Security Token Network
Security token offerings, crypto and security token funds, token issuers, STO exchanges, STO marketing agencies, and ecosystem key players.

加えて、STOの周辺領域のビジネスを担うプロジェクトがいくつも立ち上がっているようで、今後の発展における熱量が伺えます。

日本の動向

前述の通り法的な不確定要素はあるものの、Anypay社が2018年度内にSTO支援システムをリリースするそうです。 すでにインドのDrivezy社でSTOに携わった実績があるとのことで、日本ではかなり先行した存在と言えそうです。

AnyPay グループが、収益配分型トークン発行システムを 2018 年内にリリース予定。 | AnyPay株式会社 AnyPay Inc.
テクノロジーに包まれた社会を実現する

まとめ

いかがでしたか?
まだまだ未確定な部分はあるものの、より実用に資した資金調達の仕組みとしてSTOの今後には要注目です。

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