今回はアメリカのSEC(証券取引委員会)が2017年12月に発表した、ビットコインや仮想通貨、ICOに対しての公式見解を紹介します。
これからビットコイン、仮想通貨に投資する際に押さえておきたいポイントが盛り込まれており要チェックです。
この記事の目次
公式見解のポイント
(以下文章とは少し順番を前後させています)
仮想通貨やICOの定義・性質を判断するポイント
そもそも仮想通貨とは何か?ICOの何が問題か?ということについて、以下のように述べています。
仮想通貨について
仮想通貨は日本円や米ドルと同じ通貨としての機能を持っているが、政府や特定の機関の裏付けがない
その機能については賛否あるが、いずれにしてもSECとしては他の法定通貨同様その動向を追っていく必要がある
ICOについて
何を目的にするかによるが、もしICOで発行されるトークンが二次流通性や、それによる価値の上昇を目的としたものであれば、まさしく証券の性質を持ったものと言える(≒投資家保護の施策や規制が必要になる)
ステークホルダー別の注意点
(一般)投資家向け
以下の点から仮想通貨への投資のリスクについて言及しています。
仮想通貨は従来の証券市場と比べ、投資家保護が薄いこと
同、詐欺などの不正行為の可能性があること
SECは(現時点では)仮想通貨にかかる金融商品を承認していないこと
米国外のシステムと関わることによる予期しないリスクが有りうること
プロフェッショナル向け(取引所運営者やICO発行者など)
有価証券の仕組みが適用されうる契約体系がありうること
その場合は既存の法律の仕組みに則って規制されること
上記の考慮なしに仮想通貨の取引を宣伝することに対する『警告』
併せて、仮想通貨が既存の証券等に当たるか?を判断するポイントとして以下の2点に触れています。
その通貨が証券でないことを証明できるか
その通貨が通貨としての性質を備えているか(決済機能など)
必読!仮想通貨投資についての11のチェックポイント
今回の公式見解では、投資家向けに仮想通貨のここをみるべき、といった11のチェックポイントが用意されています。この内容はプロの投資家だけでなく、はじめてビットコインや仮想通貨を買うという人でも有用なので解説します。
・取引を通じて誰と契約しているか
・誰がその通貨やトークンを発行していていて、どのような目的や中身があるのか。それらは書面に落とされているか
・誰が製品の宣伝やマーケティングを、どういう狙いでやっているか。必要なライセンスがあるか。
・発行体企業はどこにあるか
・投資した資金はどこでどのように使われるのか
・投資することでどのような権利を得られるか
・監査された財務諸表があるか
・取引データはあるか
・売却や払い戻しはいつどのようにしてできるのか
・デジタルウォレットが関与している場合、鍵を失うとどうなるか
・ブロックチェーンが使用されている場合、ブロックチェーンは公開されているか。コードは公開されていて、セキュリティチェックが行われているか
・売出しが証券法を守っているか
・詐欺、ハッキング、マルウェア、またはビジネスの見通しが悪化した場合に保護されるか。払い戻しを請求したりできるか
要は『誰がどういう目的でやっていることなのか』をきちんと見極めようという話です。仮想通貨に限らず、投資一般に重要なことかなと思います。
まとめ
今回の見解は仮想通貨やICOの価値を認めつつ、投資者の保護や留意すべきポイントをまとめたものでした。規制一本槍ではなくとてもフラットな内容に見えます。
かつ、アメリカがこのような形で見解を発表したことで、仮想通貨のプレゼンスが向上する大きなきっかけになるかもしれません。