今回は『2018年ビットコイン・仮想通貨の3大トレンド』でも紹介した匿名通貨について取り上げます。
トレンド予想の時点とは風向きが変わり、特に匿名通貨については、世界各国で規制の目が厳しくなりつつあります。各通貨の最新状況はどのようになっているのでしょうか。
匿名通貨とは?(おさらい)
文字通り、匿名性の高い仮想通貨のことを指します。
通常ビットコインであれ何であれ、取引にかかるすべての情報はブロックチェーン上に保存されます。アドレスから個人を特定してしまえば、誰がいつどのように取引を起こしたのか一目瞭然です。
匿名通貨はこの点を改良し、個人が特定されない、あるいはされにくいように技術的な工夫を施しています。
個人が特定されにくいというところで、個人の取引のプライバシーは守られやすくなります。反面、犯罪で得た資金の洗浄などに悪用される可能性もあります。
代表的な匿名通貨5選とその特徴
Monero(モネロ)

マネロは匿名通貨を代表する通貨で、時価総額も現時点では最も大きい通貨です。
資金をやり取りする際に、やり取りする人のアドレスと金額が一律で難読化されるようになっています。
直近ではASIC耐性を強化するためのアップグレードに対し反発が起こり、モネロオリジナルとモネロクラシックがハードフォークするということもありました。
Zcash(ジーキャッシュ)

ジーキャッシュは『ゼロ知識証明』という技術を用いて取引の匿名化を実現する通貨です。取引量を明かさずに取引の正当性を証明することができるという点で、匿名性を担保しています。
直近ではアメリカのGeminiでの取扱がスタートしています。NY当局からの取扱認定を受けた上でのスタートということで、後述のような規制の流れを変えるきっかけになるかもしれません。
Dash(ダッシュ)
ダッシュは『ダークセンド』という手法を使い取引を匿名化します。具体的には、AさんからBさんに送金をする際、ダイレクトに送金するのではなくプールを挟むことで追跡を難しくしています。
匿名性以外にも、ダッシュという名の通り送金の速さにも特徴があります。
Verge(ヴァージ)
ヴァージはTorという技術とiP2という技術を組み合わせて取引を匿名化する通貨です。
Torは送金元と送金先を、iP2は送金経路を暗号化することにより、取引の匿名性を担保しています。それ以外にも、匿名取引と非匿名取引の切り替えができること、送金速度が速いことに特徴があります。
最近ではPornhubという、世界最大級のポルノサイトの決済方法に選択されたことで注目を浴びました。
Komodo(コモド)
コモドはジーキャッシュからハードフォークして生まれた通貨です。
ゼロ知識証明を使って匿名性を担保している点などはジーキャッシュの技術そのままに、匿名性のある取引・ない取引を選択できるなどの特徴を備えています。
実社会の反応
全体として、匿名通貨には否定的な論調が多くなっています。冒頭にも記載したとおり、資金洗浄の可能性などを捨てきれないためです。
コインチェックが仮想通貨取引所の登録をクリアできなかったのも、匿名通貨の取扱に原因があると言われています。
まとめ
いかがでしたか?
風当たりは強い一方、通貨取引の秘匿性自体はデータ等と同じで担保される権利があるのではないか、という考えもあります。
筆者個人的にはすべての取引が透明化されることを強制される社会には違和感を覚えます。入口と出口のKYC(本人確認)を取引所などで担保できれば、その確認された個人や取引経路が匿名化されていても問題はないわけで、匿名性がある通貨だから悪、というのは行き過ぎな印象です。
そもそも匿名性という点を離れ、通貨としての使い勝手(送金のしやすさなど)がよいものもあります。こうした点をうまく活かし、プライバシーが担保された取引の選択肢も保証されるとよいのではないでしょうか。